神社プラス1

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10月 10 2015

神社プラス1 メールマガジン第30号

集落

月イチ配信 神社プラス1 メールマガジン第30号をお届けします。

こんにちは
神社プラス1の和田裕美です

さて、私の周囲には
神社好きが多くいるわけですが
元リッツカールトン代表の高野登さんも
そのおひとり。
先日、高野さんと飲みに言ったときに
「和田さん、最近神社いっていますか?」と
聞かれました。
高野さん、神社の話がしたいのですよね(笑)

さて、
そのとき聞かれてあらためて
思ったのですが
最近は「神社じゃないけど
    神社のような場所」に
行くことが好きになってきたかもしれません。

今回の、メルマガライターの
中村さんは、実際に神社だけでなく
いろいろな「神社のような場所」を
自らの開拓で知っている人なんです。

熊野の「おたきさん」を
教えてくれたのも中村さんです。

すごい場所で
今、いちばん好きな場所となっています。
中村さんの実地体験はほんとう
すごいんですよね。

もとより
自然そのものが
神としてきた
我々の祖先は
その土地、そのものにいらっしゃる
神を感じ、そこにお社を作った。

だからお社のない
「神社」というのが
存在してもおかしくないのです。

ということで
実地体験ナンバー1の
中村さんの深い話に続けます!

和田裕美

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神社プラス1の中村です。

思えば今から20年ほど前、海外での放浪を終えた僕はワクワクしながら日本へ戻ってきた。
旅にしても暮らしにしても、一定期間日本を離れていると、逆に恋しく、それまで気が付くことのなかった日本の魅力に気が付く、そんな経験はみなさんにはないだろうか。

20代前半。当時の僕はものすごく狭い視野の中で、今思えばやや自虐的に「日本なんて面白くない」と安易に決めつけ、どこでもいい、ともかく日本を飛び出したいと思っていた。
そしてある時にほんの少しのお金を持って、「一番遠くの国へ行く」という漠然とした理由だけでブラジルに、ワケもなく急いで旅立ったことを覚えている。
今から20年前の南米は、それほど多くの日本人が旅先にする国ではなかったから、加えて旅慣れていない当時の僕にはなかなか刺激的で、その時の経験や体験、ちょっとした気付きが今の僕に繋がっているのは間違いない。

その中でも印象的だった気付きのひとつは旅で出会う多くの人と交わしたあいさつの中にあった。
「君はどこからきたのか?」「僕は○○という国から来た。僕の国の政治は・・・、歴史的には――」と自己紹介から祖国の説明、そしていつの間にか始まる祖国自慢・・・。
「日本なんて面白くない」という浅い理由で日本を飛び出した僕にとってはともかく衝撃的で、はじめて「自分の生まれた国を自慢しない自分」に気が付いた。

さらに考えると、自慢「しない」のではなくて「できない」ってことにも気が付いた。自慢をするにはもちろん、その国について自分なりの理解と認識が必要になる。当時の僕にはその理解と認識がまるでなかった。でも否定はしていたという、今思えば恥ずかしい限りだが、旅に出る前の僕は自分の命を育んでくれた国について、本当に無知であったことを思い出す。
様々な国の人と出会い、話す度に僕は自分が「日本人」であることを日に日に意識するようになっていった。自分が「日本人」であることを、その無知で無謀な旅が教えてくれたように思う。

帰国する段において日本への無知は興味へと変わり、僕は「日本にしかないもの」を探し始め、わかりやすい「温泉」にその好奇心が向いていった。アルバイトをしながら少しお金を手にすると、日本一周の旅に出て、海、山、川など大自然に抱かれるように存在する温泉へと向かう。日本一周は3度行い、最初はヒッチハイク、2度目はオートバイ、3度目は車で行った。

その過程において僕は徐々に日本の魅力に触れていくことになった。
秘湯と言われる温泉は山奥に多く、あるとき、長野県の温泉に向かっている途中、山間部を奥へ奥へと向った。日本全国、山間部に限らず今では住む人も少なくなってきた限界集落を見かけることはよくある。その長野の集落も他同様、10軒程度しか家のない小さな集落だったのだが、4つほどの小さなお社が祀られてあった。
10軒程度の集落に神社が4つ? 旅に出る前の僕だったらきっと見過ごしていることだが、旅の間に触れた、多くの人の祖国への想いに興味を感じた僕は「なぜ10軒程度の集落に4つも神社があるんだろう?」と、日本にいると当たり前だと思っていたことに疑問を持つようになっていた。神社はたくさんあるもの。そんな思い込みが旅に出る前の僕にはあったのだと思う。

その集落の4つの神社のひとつの前を車で通りすぎた時、鳥居の中の参道を掃除しているお婆さんを見つけた僕は車を止めて、そのお婆さんにお話を伺おうと神社へ歩いていった。その神社の拝殿は古いものだったが、入口の鳥居は建て替えられたものなのかとても新しく、「熊野神社」の名前を掲げていた。鳥居をくぐり参道にいるお婆さんに声をかけ、この神社の謂れを伺うと、お婆さんからは驚きの答えが返ってきた。

神社の名前を聞いた僕に対しお婆さんは「名前なんか知らないよ。私たちは『お宮さん』と昔からいっているんだよ」。
真新しい鳥居には確かに「熊野神社」と掲げられている。でもその神社を掃除しているお婆さんは名前を知らない・・・。では何故、名前も知らない神社の掃除を、このお婆さんがしているのだろう?

「私はここの生まれで、母親も同じ集落の出身、祖母もそうだよ。私たちの集落が毎日無事に生活できているのは、このお宮の神さまがここを守ってくれているからなんだよ。私の母も祖母も毎日ここを掃除していたから、これは私の役目なんだ」。
僕はここでもまた衝撃を受けることになった。考えてみれば神社の名前は宗教的要素。その名前はしらないけど、日々の繰り返しの中でそこを掃除しているお婆さんは、その土地を守る神様との暮らしを十分に意識している。日本に帰国し日本の神さまの存在にはじめて出会った瞬間だった。
神さまとは、神社と言う建物があればそこにいらっしゃる存在ではなく、その神様に思いを馳せ、存在に感謝をする人々の心の中に存在するのだと気が付かされた瞬間だった。

あれから20年。今朝もいつもと変わらず目覚めたことに感謝をしながら、この国に生まれついた奇跡を多くのみなさんと味わい楽しみ続けるために、僕は僕の中にいる神さまと出会う旅を、いつまでも続けていくつもりだ。

弥栄
中村 真(イマジン株式会社代表)

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【メッセンジャープロフィール】
イマジン株式会社代表/尾道自由大学校長
2012年まで雑誌『ecocolo』や書籍『JINJABOOK』などを発行する出版社株式会社エスプレの
代表を務め、現在はイマジン株式会社代表として五感を刺激する様々なプロジェクト
「five sense project」のプロデューサーとして活躍中。
学生時代より世界を旅し、外から見ることで日本の魅力に改めて気づき、温泉と神社を巡る
日本一周を3度実行。出版のみに留まらずイベントや社会貢献プログラムなど様々なメディア
活動を展開中。神社とグレートフルデッドをこよなく愛する42歳日本男児。

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[神社プラス1メンバー]

竹森良一
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中村真
神社を切り口に「旅」を考えた時、あなたの家の玄関から先がすべて参道になる。
想いを持って、お社に向かいはじめることが参拝のはじまりならば、その道中に
様々な神様に出会うことが出来るはずです。さぁ「JINJA TRAVEL BOOK」を片手に、
あなたの心に響く旅にでかけましょう!
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クレジット:ImaJin Inc

青木康
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