神社プラス1

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12月 26 2015

神社プラス1 メールマガジン第32号

神社経営

月イチ配信 神社プラス1 メールマガジン第32号をお届けします。

■こんにちは
神社プラス1の和田裕美です。

私は本業が営業コンサルタントなので
(目立つのは執筆とか講演ですが)
けっこう地味で影仕事が多いのです。

商品を魅力的にみせたり
社員の意識を変革したりして
会社再生に取り組んでいるわけですが

この時代の変化とともに
物の売れ方も変わってきています。

■そんななか、最近思うのは

「結局は
お金を使う人(消費者)の
考え方で決まる」

と、いうことです。

■日本の伝統を守りたい
日本の環境を守りたい

と、言いながら

自分の生活では
配送料無料で何より便利な
アメリカのジャングルの名前の会社で
買ってしまう。

10円でも安い卵
(一度も走ったことのない
鶏さんが昼夜わからず生まされたもの)
を、買ってしまう。

買う人がいるから、その企業は強くなる
そして、弱者は滅びていく。
そして、自然は破壊していく。

もちろん
これは
お財布事情もあり
仕方ないことです。
だからこそ
経済の変化と
時代の変化という大きな
波に飲み込まれないためには

自分の行動を
たったひとつの小さな行動を
変えていくことしかないのかなと
思っているのです。

■さて、こんな話になったのは

今回のメルマがライター
松下さんの原稿を読んだからです。

そう
神社の存続は危うい状況となっています。

25年後には4割の神社が消滅するとも
専門家の方もおっしゃっているそうです。

さて、どうするのか?

でもこれは神社だけの話じゃないってことです。

本質を見極めるしかありません。
それは、ひとりひとりの気持ちです。

(本を出版している私は
ジャングルの名前の会社で
とてもお世話になっている
自分のことを棚にあげて書いています。)

では、松下さんに
引き継ぎます

和田裕美

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

神社という企業

神社プラス1の松下です。

わたしの母方の実家が札幌にある神社ということは以前メルマガ第5号でお話しましたが、中学時代からその神社の割と近くに引っ越したのでよく出向いていました。子供の頃はよく神様からお下がりの紅白の鏡餅や冠婚葬祭時のお弁当の余り物を戴いて食べていたものでした。

幼少の頃のアルバムを見ると、神社の境内は広いのですがほとんどが空き地で社殿や社務所も小さな木造でしたが、私が小学生の頃に冠婚葬祭に対応できる立派な社務所兼神社会館ができました。そして祖父から叔父が宮司職を継いでから地域の人口増加に沿うように、大鳥居を作り、地域振興の和太鼓の演奏団を結成し空き地にステージ小屋を建ててお祭りの時に演奏したり、手を叩くと水が流れてくる手水用の大きな岩を設置したり、建立記念で本殿を改修したりと、色々とお金をかけているのが判ります。

建立記念や遷宮での本殿改修や大鳥居の新設などは神社にもよりますが数千万〜数十億円単位の資金が必要となります。山岳信仰などの険しい山にある無人の小さな鳥居や祠だけの神社と異なり、地域の神社はそこの住人の増加に合わせてその受け入れ規模や体裁を大きくする必要に迫られてしまいます。
神社ではこういった対応を決めるのは氏子と呼ばれる地域の協賛者(社)の集まりの中で、特に古参の家系など有力な方々の総代と呼ばれる集まりです。
私は宮司や禰宜の仕事は神職というよりも体力と人脈が資本の営業職だと思っていますが、宮司を神社という企業の社長とするなら、総代は株主会とか経営陣と言えるでしょう。

営利法人である神社は、その経営維持のために色々と努力が必要となります。参拝者の獲得に趣向を凝らし、地域との密接な関係を維持し、後継者の育成もしなければなりません。私の叔父は健康を損なったこともあり先年宮司を退任しましたが、残念ながら子供は全員女性で1人は権禰宜の資格を取りましたが氏子に女性神職を認められず都内でOLをやっているので直系の後継者はなく、祖父が昔兼務先だった神社に就いた宮司一族から後任が選任されたという経緯があります。

近年、各地の宮司がいる神社で特に過疎化の深刻な地域の神社では少子化もあり後継者不足で神社の存続が問題になるケースや、氏子の減少で資金繰りが厳しくなるケースも散見されます。
特にバブル崩壊後やリーマンショック後の奉納金収入の減少は各地の神社の経営に打撃を与えているようです。

実際に経営破綻した神社が過去ニュースなりました。

2003年には横浜市の伊勢山皇大神宮が敷地内に婚礼施設を兼ねたホテルを建てたものの経営に行き詰まって破産して神奈川県神社庁直轄になり神社の競売を逃れたり、2012年には青森県弘前市の弘前東照宮が事業拡大の一環として行った結婚式事業で多額の設備投資が資金繰りを逼迫して破産したりしています。

参考記事:
http://hamarepo.com/story.php?story_id=4256
http://www.fukeiki.com/2012/04/hirosaki-toshogu.html

昔なら「神社が破産なんてするの?」という感じでしたが、不景気は神様の住まいも危うくしています。

そんな中、最近は主に都市部の神社で遷宮に伴う社殿改修などの資金調達のために神社の敷地の一部を従来の余り収入が見込めない駐車場などの代わりに定期借地権を設定して住宅建設で合意するケースが出てきました。

2010年には東京都新宿区の赤城神社が奉納金の減少や少子化に伴う幼稚園経営の不振により神社の建替えが困難な状況になったため、70年の定期借地権設定の案を採用して神社の建替えとマンションの共同事業が実現しています。
参考記事:
https://www.g-mark.org/award/describe/38173

上記の赤城神社の時と同じ事業者が、2012年には東京都新宿区の成子天神社で本殿社殿の建て替え費用確保と新宿エリアの再開発に伴い社有地の減少したこともあり将来の永続的な神社の運営を考え神社と共同で70年の定期借地権を設定してタワーマンションを建設しています。
参考記事:
http://allabout.co.jp/gm/gc/436037/

最近では、今年の3月に京都市左京区の下鴨神社が式年遷宮での約30億円かかる社殿の修復や周辺の環境整備に充てるために敷地の一部に50年間の定期借地権を設定して分譲マンションを開発することになりました。
参考記事:
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/nfm/news/20150304/693789/

京都の神社などではマンション建設に伴う景観問題などもあがっているようですが、「寄付頼みの収入では今後、文化財として神社を次世代に残すのが難しくなる」という現実的な問題の解決策としてやむを得ない部分が大きいと思います。

このように、神社によって存続のために直面する問題は様々ですが、企業体として存続できるよう神社と氏子、協賛者が協力して知恵を絞り神様の住まう場所を守っています。信奉者がいてもお社が無くなったら神様が可哀想ですから…。
みなさんも、よく参拝に行く神社で改修のための奉納金を求めていたら塀の柱1本分、瓦1枚分に満たなくても協力してあげてください。もちろんお参りの際にお守りなどを買って戴くだけでもかまいせん。

ちなみに、私が就職して最初のボーナスから僅かですが1万円を父方の祖母に送ったら、祖母が地元の神社にそのまま改築奉納金として納めていて、そこの神社から奉納者向けのパンフレットが送られてきました。意図せず地方の神社に奉納していたんですね(笑)

松下 典浩

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【メッセンジャープロフィール】
1967年札幌生まれ。大学卒業後、富士通グループに入社。プログラマー出身のSE。
PC用作曲ツールやゲームの開発、Webサイト管理を経て、全世界の富士通サイトのデザインを統合するCMSの設計〜導入のオフショアプロジェクトリーダーを務める。その後もWebサイトコンサル、ITコンサル等で活躍するも病気のため退職。
休養中にツイッターで和田さんに一本釣りされ神社プラス1のIT担当となる。
現在は求職しながらクラウドソーシングを利用してフリーランスでツールやシステム開発を担当。

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[神社プラス1メンバー]

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