月イチ配信 神社プラス1 メールマガジン第23号をお届けします。
こんにちは 神社プラス1の和田裕美です
実はここのところ
イベントをやっておりませんが
これにはわけがありまして
来年に向けて大きなイベント企画があり
そこに向けて全力投球しているからなんです。
実現可能にむけて
企画がもっと明確になったとき
またみなさんにお知らせいたします。
さて、今回のメルマガライターは
松下さんです。
松下さんは
大手メーカーにいらしたことがあり
エンジニアとして活躍されていたんです。
すごい才能、ものすごくITに強い。
神社プラス1では欠かせない存在です
そんな松下さんの
今回のメルマガ。
いや~すごい知識
ここで私がとやかく解説するにおよびないので
ぜひここからさき、わくわくとお読みくださいませ
気になるのは推薦マンガですね
松下さん、実は IT系だけじゃなく
アキバ系にも強いのです!!(笑)
推薦コミックさっそく読みたいと思います。
ではでは
和田裕美
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こんにちは、神社プラス1の松下です。
今回は、私が若い頃からローカルに信仰?している神様達のお話をします。
「もったいない」の神様達
■私の習慣
いつ頃からだったろうか、私は使っていた物を捨てる時に「ありがとうございました」と呟きながら捨てる習慣がついています。
たぶん、刃物や工具などでしばらく手入れしてなかった物でケガをしたり、車や機械、パソコンなどをまめに手入れすると良く動いてくれるとか、元々はそんな思い込みからきていると思います。
幼少の頃からがらくたを集めたり機械いじりが好きだった私には、愛用していた物が壊れたり、どうしても捨てなければならない時は「もったいない」という気持ちから「感謝」更には信仰めいたものになっていました。
■「もったいない」の神様=付喪神について
「もったいない(勿体無い)」という言葉は近年海外でも「MOTTAINAI」と紹介されていますが、語源の「物体(もったい)」は仏教用語だそうで、「勿体無い」は、もともと「不都合である」、「かたじけない」などの意味で使用されていたそうです。
この現在の「もったいない」に通じる考え方は歴史的にはいつごろからきているのでしょう。
古来日本では、民間信仰として、長い年月を経て古くなったり、長く生きた依り代(道具や生き物や自然の物)に、神や霊魂などが宿ったものを「付喪神(つくもがみ)」と呼んでいます。
現存する資料で付喪神の原型とも言える物が鎌倉時代の「土蜘蛛草子」に、人や動物と合体したような妖怪のような姿で描写されています。
「付喪神」と命名されたのは室町時代の「付喪神記」からのようです。この書の冒頭で「陰陽雑記に云ふ。器物百年を経て、化して精霊を得てより、人の心を誑かす、これを付喪神と号すと云へり」とあります。
付喪神については鎌倉~室町時代あたりに平安時代頃の出来事して描写されたものが大半でいわば付喪神描写の黄金期(笑)で、どうやら、室町時代に軽工業が栄え家庭用品が大量に作られ安易に消費された状況が今で言う「もったいない」という感覚で描写されたのではないかと考えられています。
■造化の三神=変化大明神?
現代に伝わる有名な付喪神の描写は、やはり前出の「付喪神記」を含めた「付喪神絵巻(つくもがみえまき)」と呼ばれる絵巻物で、付喪神、付喪神絵、付喪神絵詞、付喪神縁起絵巻など呼ばれるものを含め多くの伝本があり、これら「付喪神絵巻」の内容は、平安時代ころに年末の煤払いの日に捨てられた古道具たちが付喪神となって人間を襲い享楽を尽くすものの、護法童子らの真言密教の法力によって調伏されてしまい、反省から出家して真言宗を学んで修行したのちに成仏するという物語です。
実はこの「付喪神絵巻」の上巻に面白い記述があります。
・「万物の造形をつかさどる造化の神の手にかかれば、われらとて魂を得ることができるであろう。節分は陰陽が入れ替わる時節であるから、今度の節分を待とうではないか。その時に命を捨てれば、造化の神が妖物に作り替えてくれるであろう。」
・妖怪たちは住処を決めることになりました。あまり人里離れたところでは食べ物を手に入れるのにも不自由です。そこで船岡山の後ろ、長坂の奧を住処とさだめて、移り住みました。
・「われわれは造化の神によって生まれ変わったのに、その神を祀らなければ、心ない木石と変わらないではないか。今からこの神を氏神と定めて恒例の神事を行おう。子孫繁盛間違いなしじゃ。」
船岡山の奥に社壇をたてて、変化大明神(へんげだいみょうじん)と名付けました。
「造化の神」とは、古事記にある、天地開闢の際に高天原に現れた「造化の三神」を指しているのだと思います。
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)=至高の神
高御産巣日神(たかみむすひのかみ)=征服や統治の神
神産巣日神(かみむすひのかみ)=生産の神
この三神にあと二神を加えて別天津神(ことあまつかみ)と呼ばれています。
そして、付喪神達が造化の神を「変化大明神」として祀ったという京都の船岡山は地名として実在しているわけですが、なんと現在の船岡山の南西の北野天満宮の近くに天津神社という神社があり、この神社では天津大神として造化の三神を御祭神として祀っているではありませんか!!
もしかしてこの神社は絵巻物にある「変化大明神」なのではとわくわくしてきます。
■「もったいない」の神様達に感謝を
私は付喪神という存在を詳しく知って以来、自分の持ち物にもこの神様達がいらっしゃると考えて、使っていた物を捨てる時にはより一層感謝と共に親近感を感じるようになりました。
皆さんも、使っていた物を捨てる時には「付喪神」が宿っていると思って感謝の言葉を添えてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、私は漫画やアニメが大好きなのですが、今回の話の内容を扱った、付喪神(造化の神)と小説家がお社で同居するというコミカルな漫画があり私のお気に入りなのでご紹介しておきます。
「精怪異聞」 作:時任奏 一迅社 REXコミックス 全3巻
それにしても、さすがは八百万の神の国ですよね。神社に行かなくても神様は身近にいるんですから!
参考資料:
各書物と造化の神について: Wikipediaの各ページ
「付喪神絵巻」上巻のお話について: 京都大学「挿絵とあらすじで楽しむお伽草子 第5話」
京都・天津神社: 天津神社Webサイト
松下 典浩
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【メッセンジャープロフィール】
1967年札幌生まれ。大学卒業後、富士通グループに入社。プログラマー。
作曲ツールやゲームの開発を経て、全世界の富士通ウェブサイトのデザインを統合するシステムの設計~導入のリーダーを務める。
その後もWebサイトコンサルタント、ITコンサルタントとして活躍するも病気のため退職。
休養中にツイッターで和田さんに一本釣りされ神社プラス1のIT担当となる。
現在はクラウドソーシングを利用してフリーランスでツールやシステム開発を担当。
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[神社プラス1メンバー]
竹森良一
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